旅人のタカヤです。
「労働は自由を作る」
この言葉は、アウシュヴィッツ強制収容所の入り口で掲げられた看板です。
しかし、収容所での労働は自由なんて作るどころか、死への一歩でしかありませんでした。
ポーランドで有名な場所といえば、皮肉にも悲惨な出来事があった「アウシュヴィッツ強制収容所」。
今回僕は、アウシュヴィッツ博物館で唯一の公式外国人ガイド「中谷剛さん」のツアーに参加してきました。
かなり学ぶことが多かったので、ツアーの流れや学んだこと、感じたことなどをシェアしてみようと思います。
アウシュヴィッツの概要
「アウシュヴィッツ強制収容所」の施設や使われていたものが残されているのが、「アウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館」。
1979年に世界遺産に登録され、第二次世界大戦時に起きた悲劇を伝える「負の遺産」として知られています。
場所は、ポーランド南部のオシフィエンチムという町。
ヒトラー率いるナチス政権下において、ドイツが大量のユダヤ人を虐殺しました。
その中でも大きな犠牲者を出したのが、アウシュヴィッツ強制収容所。
数ある収容所の中でも、最大規模の収容所として知られています。
何の罪もない多くの人が犠牲になりました。
ただユダヤ人という理由だけで、拷問を受けたり、虐殺されたりしたのです。
死者は110万人と言われていますが、正確な数は現在も分かっていません。
日本語ガイド中谷さんツアーの流れ
「中谷剛さん」は、アウシュヴィッツ博物館で唯一の外国人ガイド。
アウシュヴィッツ博物館に行かれる方は、絶対に中谷さんのツアーに参加するのがオススメです!
展示物自体にも説明はありますが、英語で分かりにくいし、それ以上の説明をしてくれるので、圧倒的に理解が深まります。
中谷さんのツアーに参加していなかったら、ここまでいろいろなことを感じることなく終わっていたでしょう。
中谷さんツアーに参加するには、まず中谷さんにメール等で連絡を取ります。
中谷さんのツアーは人気なので、遅くとも1週間以上前には連絡しておきましょう!
できれば2週間以上前がベスト。
満席で、もう受付できないということも多々あるようです。
「○日〜○日の間でどこか空きはありませんか?」という風に聞くと、日程の調整をしてもらいやすいと思います。
参加日当日は、現地集合現地解散なので、各自で博物館まで行かなければいけません。
当日集合場所に行くと、たくさんの日本人が集まってくるのでわかるはず。
確か、20人近くいました。
全員集まると、中谷さんのツアーが開始されます。
支払いは、当日現金で支払いました。
ツアー料金は、15ユーロまたは60ズウォティ。
値段は変わっている可能性もありますが、ツアー内容から考えると安いと感じました。
ツアー中、それぞれの展示場所に止まり、解説や歴史についての話をしてくれます。
そして、中谷さん独自の日本人からの視点も取り入れて話してくれるので、すごく理解が深まりやすかったです。
ツアーは3時間程度で終了。
そこから各自バス等で移動して帰ります。
中谷さんのツアーで感じたこと
ここからは、僕が中谷さんツアーで感じたことを書いていきます。
まず、中谷さんの説明の仕方がすごく勉強になって、ツアー参加者の理解を深めてくれるということ。
中谷さんは、「完璧な説明」や「中谷さんの意見を聞かせてくれる」というよりは、参加者が思考する余韻を残しながら案内をしてくれるような方だと感じました。
もちろん必要な説明や、中谷さんの意見も聞かせてくれます。
しかしそれよりも、参加者自身が「一人一人に何ができるのか」と思考するようにツアーを進めてくれました。
だから普通に展示物を見ながら説明を受けるよりも、自分で思考する余韻があります。
当時、世界の中でも文化的に進んでいたドイツが、なぜこんなことをしたのか。
なぜユダヤ人が嫌われ、迫害されたのか。
はっきりとした理由は解明されていません。
しかし感覚としては、イジメに近いものがあったようです。
そして、誰もが持っている心の障壁が表立って出てきたことで、悲惨さを増大させたそう。
心の中の障壁は、誰にでもあります。
外国人に対する苦手意識や、自分と違う見た目の人や、違う生き方の人への対抗心。
ツアー終了後、僕は興味が湧いた国があります。
それは、イスラエル・中国・韓国の3カ国。
イスラエルは、迫害されたユダヤ人が自分たちを守るために作った国。
しかし今は、自分たちを守ろうとする力が強過ぎて攻撃してしまっていると。
その結果、今の中東の紛争問題が起きていることに繋がっている部分もあるのです。
そんな国に実際行ってみると、何を感じるのか。
また、中国と韓国に対して、嫌悪感を抱いている日本人もいます。
その嫌悪感の正体は何なのか。
そんな謎の嫌悪感が、ユダヤ人の大虐殺を引き起こした一因でもあります。
なので、自分自身もっと韓国や中国のことを知り、良いと思った部分を発信していきたいです。
ツアーを通して、自分には何ができるか考えました。
その結果出た答えは、「旅の発信活動」。
まずは自分が色々な国を旅をして、自分自身の心の障壁を減らすこと。
そして発信することで、自分の周りの人の心の障壁を少しでも減らせたらと思います。
公式ツアーガイド中谷剛さんオススメの本
ツアー中、中谷さんがアウシュヴィッツ系の本でおすすめのものを聞いたので、シェアしておきます。
- アンネ・フランク『アンネの日記』
オランダのアムステルダムで潜伏生活をしていた少女の2年間の日記。
大変な状況下でも前向きに生きるアンネに勇気付けられます。
とても読みやすいので、読書が苦手な方にもおすすめ。
- ヴィクトール・フランクル『夜と霧』
強制収容所に送られた、ユダヤ人心理学者が書いた本。
心理学者としての視点が、非常に興味深いです。
収容所でどんな心境の変化があったのか冷静に分析されています。
また、中谷さん自身も本を出しています。
ポーランドまで行けないという方は、中谷さんの著書を読んでみるのも良いと思います。
ホロコーストを次世代に伝える―アウシュヴィッツ・ミュージアムのガイドとして (岩波ブックレット)新訂増補版 アウシュヴィッツ博物館案内
クラクフから博物館までの行き方
できるだけ、前日までにオシフィエンチムに着いておくことをおすすめします!
僕は、前日の夜にオシフィエンチムに到着し、博物館から徒歩30分のところにある宿に泊まりました。
当日の朝は、歩いて博物館まで向かうだけ。
交通機関遅延等の心配がなく、時間に余裕を持って到着できました。
博物館には、大きな荷物を有料で預けることができる場所があります。
僕はそこにバックパックを預けて、見学しました。
オシフィエンチムに向かうには、クラクフという街から行くのが定番。
クラクフはポーランドの古都であり、国内で第三の規模の都市。
クラクフ中央駅横のバスターミナルから長距離バスに乗り、約1時間半。
乗り換えもなく、終点が博物館前なので便利です。
本数も多いのであまり心配はないと思いますが、連休や繁忙期には前日までにチケットを購入しておいたほうがいいでしょう。
最後に
東ヨーロッパでは、各地でユダヤ人迫害の跡が残っています。
その中でも代表的なのが、アウシュヴィッツ。
本当に悲惨な出来事があったのは、誰でも知っているでしょう。
しかし実際に博物館へ行くと、悲惨さをより強く感じます。
過去に起きた悲惨な歴史から、「今何ができるか」と自分に問いかけることが大切だと思いました。
今でも世界のどこかで、アウシュヴィッツでの出来事と似たようなことが起きています。